●コメント
　ヒネテーロには気を付けて！

滞在２日目お昼近くにベダード地区をふらふらとしていると、身なりのきちんとした人なつっこいキューバ人がフレンドリーに話しかけてきた。ヒネテ−ロ（たかり）かと警戒しつつも、この近くで昼頃からルンバのライブがあるけど興味があるか？と、ちょうど探していたところだと答えた。じゃあ、案内してあげるからついて来てと言って、そのまま話ながら歩き出すと、まだ開演まで時間があるから、少しクーラーの効いた知合いのバーで、モヒートでも飲もうと来た。まあ、ちょうど咽も乾いたし、いいかと思ったのが甘かった。結局、店に入るなり、奴はモヒート飲みながら景気づけをして、シガー（葉巻き）を20CUCくらいで安く売ってくれる友達がいるから、買ってくれないかと来た。こちらも予備知識でもぐりのシガーなぞ買ったら後で税関で没収される事ぐらい知ってるので、ガンとして拒否しつづけていると、奴はだんだんとキレ気味になってきて、しまいには、モヒートを飲むだけ飲んで、オレに金を払えときた。
まあ、ここはこちらが大人になりクールに２０CUC支払いをすませ、とっととこいつをおっぱらおうと色々と画策した。店を出てからもこのヒネテ−ロは執拗に食い下がってくる。しまいには、自分の家族が生活にこまっているから、２０CUCを現金で欲しいとまでほざき始めた。これにはさすがに頭に来て、おまえ、さっきの店でお前の酒代１５CUC払ってやったんだぞと、それにキューバ人の平均月収はいくらだい？とわざと聞くと２０〜３０CUCと答えた。 まったく本末転倒だ。こうやって観光客にたかって、なんの努力もしないで、食いつなごうとする考え方にはがっかりした。本当にごく一部のキューバ人のこうした行為が、後味のわるい気持ちを沢山の観光客にあたえるのは、キューバの観光産業にとって損害だと思った・・・が、
アメリカから４５年間も経済封鎖を続けられている背景上、国自体の財政がひっ迫しているうえ、物資不足で、まともな仕事が無い事情を察すると、致し方ないのかと複雑な思いに駆られた。

同日、気を取り直して、ベダードにあるライブハウスでラテンロックを楽しんでいると、またまた人なつっこいキューバ人がフレンドリーに話しかけてきた。またまたヒネテ−ロ（たかり）かと警戒しつつも、どうやらこの人はこれから演奏するバンドメンバーのひとりだという事がわかった。そして自分の娘と相席しても良いですか？とお願いされた。断る理由がないので、快諾すると明るい笑顔でグラシアスと言った。
そしてその娘とそのお友達がにこやかにコモエスタと挨拶してくると、こちらも明るく挨拶に応えた。ざっくばらんに歓談していると、彼らはバーカウンターで支払いを済ませた冷えたビールを僕に気を使って勧めてくれた。これには感動した。
さっき出くわしたヒネテ−ロとの事をすっかり消し去る事ができる出来事だった。やっぱりキューバ人はいい人だと再認識出来た。やっぱり世の中どんなに恵まれていようが無かろうが、人に対する基本的な気遣いの姿勢が一番大事なんだと思った。これってユニバーサルな感覚じゃないでしょうか？