Soul
Quality Quartet exclusive
interview 特別独占インタビュー
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Soul Quality Quartet interview
2/3/2004 @Blue note Tokyo /
Text& Interviewed by jun ide
マッツ(b,back vo,g)、マンス(KB、アレンジ、プロデュース)アルマズ(ボーカル)
取材協力:IRMA Records,Blues Interactions, Inc. and Blue note Tokyo
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●Early development
まずどのような経緯でSoul Quality Qualtedを始めたのでしょうか?
Matts:
80年代後半以来、ずっと色々なバンドをやってきていて、91年あたりに マンスと出会って、94年あたりにソウル・クオリティ・クアルテッドを
結成したんだ。当初ブーガルーを中心にプレイしていて、やっているうちに だんだんとモダンスタイルへと変化していった。どちらかというと我々は
ジミ-・スミスのような、レトロスタイルからのスタートだった。
Mans:
そもそも自分は少年時代からソウルミュージックや、アフロ・アメリカン ミュージックを聞いていて、その音楽の持つルーツやトラディショナルな
側面にすごく興味を持っていた。 アマチュア時代のバンドで約2~3年くらいアメリカン・ジャズやソウルをプレイ した後、だんだんとサウスアメリカの音楽に興味を持つようになり、ブラジリアン・
ミュージックとキューバン・ミュージックに出会った。
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●スエーデン発のブラジリアンバンドとして活動してますが、ボサノバとの出会いについて
Matts:
現在は、グローバルコミュニティーになり、それぞれの人々の出身地に限定する 事じゃなくなって来ていると思う。世界中どこの国へ行っても、本当に沢山の種類
の音楽を聞く事ができるし、、、もしあなたの国に良質の音楽を扱うアウトレットが あれば、簡単に良い音楽を手に入れる事ができる。とにかく自分が
興味のある音楽を聞いて行くしかないよ。
Mans:
そもそも自分にとってのブラジリアン・ミュージックは、ボサノバからはじまっ た。何故ならそこにジャズとの関連性をみつけたから。たしか94、5年頃、いまほ
ど、ブラジリアンがブームでなかった頃から聞く様になったんだけど、当時の スエーデンには、まだまだ他の国のように豊富なCDが揃っていたわけじゃあ
なかったから、ブラジリアンのアーティストなんてあまり詳しくは知らなかった。
Matts:
はじめてボサノバを聞いた時には、なんだか自分の中で新しい何かがオープンした ような感覚だったよ。当時のバンドスタイルは、ブーガルーを中心にプレイしてい
て、シンガーもいなかった。自分達はどちらかというとオルガンを中心に、サクソフォン、ベース、そしてドラムの編成クアルテットだった。
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●バンドのコンセプトについて
Mans:
そもそもSQQのバンドのルーツと言えば、ブーガルーから多くの インスピレーションを受けていると言える。基本的に自分が殆どの作品を 創っていた。自分達はSQQとしてプレイする際に、モダンビーツを取り入れながら
新しい音楽を創っていき、皆がダンス出来るようなものにしたかった。 ボサノバを聞き始めた頃の自分達のスタイルは、もはやブルージー、ブーガルー的のムードはだんだんと無くなりつつあった。そして自分達のバンド自体はブラジリアン・バンドというよりも、フュージョンスタイルのバンドとして変化していった。ビーツ、ダンスリズム、ソウルをコアとした音楽かな。その代わりにもう一つのバンドである、
<ボッサ・エレトリカ>の方にブラジリアンの要素を残したんだ。自分達はどんど んと新しい音楽を展開していたかったからね。 初期の頃にプレイしていたような音楽では、表現に限界があって、自分達の可能性
を狭めていたような感じだった。
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●本格的にレコーディングを開始した経緯について
Matts:
当時、自分達が自主制作版(名称不明)1stアルバムをリリース したきっかけは、デスパレート(自暴自棄的)な心境からだった。 とにかく、スエーデンから、世の中へ出て行き、プレイ
したいという思いがとてもとても強かった。 これから世界中の色々な場所でギグをやってゆく上で、 このアルバムを自分達でレコーディングして、あちこちにばらまいたんだ。
結果的には、幸運にもロンドンの[Timewarp]にとても気に入られて、 漸くディストリビューターを見つける事ができた。
Matts:
そして2作目の”ストリップ”には、ボーカルトラックもいくつかあったけど、 どちらかというと、まだブーガルーモードだった。 その作品は、ストックホルムではかなり有名なプロデューサー、
Blacknuss (Allstars)のMartin Jonssonがプロデュースしたんだ。 当時 Blacknussは、かなり人気があって、自分達の音楽が彼らにどのように
聞こえているか、意見を聞いてみたかったのがキッカケだった。
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●ジャザノバのDJともライブ活動したり交流がありますが、、
Mans:
去年ジャザノバDJ達とスエーデンの、いくつかのギグを廻ったりしていた。 彼らのプレイする音楽は、エレクトロニック的なアプローチでやっていて、
すごく面白いと思う。コンピュータのインプットでのダイアログを通して、 音楽をクリエイトしている。自分たちのようにバンドで、シンガーがいたり
して、リハーサルルームから創造するんじゃなくね。 コンピューターベースでプログラムされた音楽は、ライブバンドから、 多くのインスピレーションの元に制作されていると思う。
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●RECENT WORKS
Q: "DIP"のコンセプトについて
Matts:
そもそも 『Dip』は、約2年くらい前にレコーディングをした。 [Sonar Kollectiv]から出した自分達の『Soul Quality
Quartet EP』(99) のあとで、ジャザノバが我々のアルバムを望んだんだけど、実際彼らの求めていたもの より、自分達の創ったものは、少しストレート・アヘッドのソウルだったようだ。
彼らのようにエクスペリメント的ではなかったようだ。
Mans:
そしてその後に売り込んでいたイタリアンレーベルである、[IRMA]に 気に入られてリリースに繋がったんだ。実際にスタジオに入って約2週間で、
レコーディングを済ませた。その後ポストプロダクションで、ミキシング、 マスタリングなど行った。 その期間は、皆それぞれ違う事を平行して仕事をしていたから、調整する
のが大変だった。スエーデンにある殆どのインディーは、スタジオ制作には あまりお金をかける事が出来ない。ライブバンドは、DTMのように自宅の一室で
レコーディング出来ないだけに大変だと思う。とにかくこのアルバムを成功させ て、 次ぎはじっくりとスタジオ録音出来たらとても嬉しい。本当にそれは自分らの夢でもある。今回の録音もアコースティック感を出す為に、アナログテープで録音したりして、故にあったかみのある音を得る事ができるんだ。とても気持ち良いサウンドだよ。
今作では、マッツが、3曲作って、自分が残りの約8曲を書いたんだ。そしてミッ クスとアレンジはバンドメンバー全員で行った。 もし誰かが何か良いアイディアがあれば、それを元に形にしてゆくんだ。
通常は、まず自分の家のソファに座りギターで、メロディやリフを適当に作ってゆ く、そしてアレンジメントを少しづつ考えてゆく。昨日ブルーノートの1STステージでは新作を披露したんだ。オールドスクールのR&B、そしてファンク調のチューンを
プレイしたんだけど、そもそも原曲のメロディーとハーモニーはボサノバ調で、 ギターで作ったものだったんだ。 自分も曲を作る時は、ギターを使って、適当なボサノバっぽいコードから入るん
だ。ピックとか使わないで、指で弾きながらね。独特のリズミックパターンを造り出す上で、すごく良いやり方だと思う。そしてそこで得たインスピレーションをドラムパターンへと応用させてゆく。
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●RECENT WORKS
Q:今作では、どのようにアルバム制作に関わっていたのでしょうか?
アルマズ:
今作では、私が全曲のリリックを書いたのではなく、殆どをマッツが書いたの。 そこから私が曲の感じを掴んで、自分なりに表現したの。だから各曲を創作した際
のインスピレーションについては説明できないわ。 私はボーカリストとして、制作途中のマテリアルを受けた時点から、リリックスと ミュージックを最大限に活かすために、マッツから曲について、何が一番伝えた
い事なのかをはっきりさせるの。彼がどんな考えを持って、リリックスを書いていた のかを理解し、どんな風にしたいのかを話しあう。それから自分の家へ帰ってそ
の題材を元に、全体の詩を理解した上で、じゃあ自分はこの曲を通して、何をしたい のか?を考える。もしその曲に自分がコネクトしなければ、皆でプレイする時にすご
く苦労するから、とにかく自分自身のフレーバーを織りまぜて表現するように心掛け ているわ。 ボーカルとして、私自身の感情を最大限に曲に入れこんで、レコーディングに
挑んだと思う。今作ではスタジオで、歌うだけではなく、バックコーラスのアレン ジや、曲のアレンジメントまで関わっていた。
殆どのリリックスは、マッツが手掛けているけど、ポルトガル語で、 “Como Antes”, “Toda Tercafeira”とか、いくつかのリリックスを書いたりもした。
Como Antesは、マンスが曲を作ったんだけど、その曲を元にどんなイメージの リリックスがいいか色々と話し合ったの。すごくメランコリックで悲しい
内容で、その詩の主人公は、一般社会において人間関係に悩んでいて、人と コネクト出来ないで苦しんでるという設定で、彼自身人生に満足感を得てい
ないといったもの。 もうひとつの曲の“Toda Tercafeira”は、どちらかと言うと、ハッピーな 内容の歌で、主人公が自分の恋人と会う事を考えるだけで、わくわくして、
いますぐに会いたい気持ちを明るく表現しているの。 そして私が一番気合いをいれたのは、言う間でもなく、自分の歌が十分に表現 出来ているかどうかという事ね。
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●今作のレコーディングでチャレンジだったことについて
Matts:
レコーディングで苦労した点は、タイムリミットかな。自分達には 12曲を録音するのに、1週間しか時間が無かったから、すごく大変だった。 本来なら、時間をかけてひとつひとつの曲に対して細部に渡るまで調整したりする
けど、今回はすべてを通しで一気に録音しなければならなかった。レコーディングの 前に、鮮明なアイディアがあって、それをもとにスタートして、経験を繰り返しながら、ドラム、ベース、ギターなど加えてじっくりとやるのが理想だね。
●どのトラックが一番思い入れが強いですか?
Matts:
このアルバムの中で一番気に入っている曲といえば、 “Maculele”かな。これはMansが作ったんだよ。 曲のインスピレーションは、ブラジリアンの伝統に
ヒップな感覚を融合させて、ファンキーなフィーリング を出す。そんな感じで仕上がったんだ。
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●いつもどんなメッセージを作品に込めているのでしょうか?
Matts:
自分達がいつも音楽の中に込めているものといえば、面白いメロディーに、 シンコペーションのあるコンテージャスなリズムパターン。 それが融合すると音楽そのものがとても楽しくなってゆくんだ。
詩的な面では、今回スエーデン在住のブラジル系の詩人である、ギアン に書いてもらっている。アルバムの一部では、彼に対して、自分達のアイディアを
モチーフにしてポルトガル語にしてもらい、伝統的なブラジリアン風に仕上げても らった。すごくロマンティックな詩になっているらしいが、自分達がポルトガル
語を理解出来ないので、なんて言っているか分からないけど(笑)
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●そして、SQQ以外にもア・ボッサ・エレトリカのメンバーとしても活動してますが、
2/6にP-vineからリリースされた"eletrificacao"について聞かせてください。
Mans:
自分は、ジョージ・デュークの“Brazillian Love Affair”が大好きなので、殆どの インスピレーションは、70SスタイルのMPBとボサノバから得ている。
どちらかというとMPBよりジャズオリエンテッドのボサノバだね。 もちろん自分達のオリジナルスタイルへと時間をかけて昇華させていった。 もともとこのバンドは、ブラジリアンのクラッシックスをカバーする事
から始まっていたんだけど、結果的には、思っていた以上に面白い音楽を 作る事が出来たんじゃないかな。 自分が影響を受けたアーティストをあげるとすれば、
一番最初に思い浮かんで来るのは、やっぱりエリス・レジーナ、 ジョアン・ジルベルト、マルコス・ヴァーレ達かな・・・ 彼らの音楽からインスパイアされたものと言えば、
その独特なサウンドだと思う。すごくモダンでいて、ひとつひとつの サウンドがタイトにまとまりをもって、サウンドスケープを創り出している。 そのメンタリティーが、このアルバムに注ぎ込まれているんだ。
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●今後の活動について
Mans:
個人的な思いとしては、『ディップ』の第2弾を継続して やって行きたいと思う。今度はリソースも充実させてやってみたいな。 特にスタジオタイムを!!(笑)そして我々の新しいパーカッショニストとね。
皆と共にプレイし、実験しながら、アレンジを楽しんでやってゆきたいな。
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●How does music
make U feel?
Matts:
自分の心に何か触れて来るような、泣きたくなるような感覚にさせるね。 そんなアーティストに本当に心を動かされるよ。ホントにそんな時には 泣きたくなるね。ごくたまに演奏している時にあるよ。(笑)
オーマイガット、最高にビューティフルって思えたり、超ファンキー! って思ったり、すごく説明するの難しいけど、、
Mans:
多分思うに、真実の瞬間かな。バンドメンバーの音が コネクトしあう時に、ひとつのユニットのなり、前進してゆくような すごく気持ちの良い感覚だと思う。
アルマズ:
一番重要な事は、人々が私の歌を通して、何か心に感じてくれるものが あるかどうかだと思う。偽りの感情ではなく、本物の感情としてね。 仮にコンサートが終わってから、3年経った後でも、その人が私の
メッセージや、フィーリングを覚えていてくれているか、もしそうだとしたら、 すごく嬉しいわね。CDよりも、ライブでパフォーマンスする方が、表現を
十分に出し切れると思うわ。それが、観客の前で音楽をプレイする上で、 一番重要な事だと思う。その感動の瞬間がいつまでも観客の心に留まってくれる
事が大切だと思う。
Thank you very much Alma, Mats and Manz / Text&Interviewed by jun
ide
[取材協力:IRMA Records,Blues Interactions, Inc. and Blue note Tokyo ]
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[ソウル・クオリティ・クァルテット バイオグラフィ]
スウェーデンで93年に結成、96年に自主レーベルよりアルバム『Strip』を発表。99年発表の『Soul Quality Quartet
EP』 [Dialogue]で欧州中から注目を受け、4年余りの歳月を経て『Dip』(Pヴァイン)を完成。活動当初はクァルテット構成だったが、のちにシンガー等を加え、よりライヴ・バンド寄りに。なかでもAlma(Vo)は英語/ポルトガル語で歌唱をこなし、90年代初頭からソロ/他グループで数枚アルバム発表のキャリアを誇る。またMans(Key)、Mats(B)はア・ボッサ・エレトリカのメンバーでもある。
[取材協力:IRMA Records,Blues Interactions, Inc. and Blue note Tokyo /Text
& Intervied by jun ide]
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[取材協力:IRMA
Records,Blues
Interactions, Inc. and Blue
note Tokyo ]
[text & Intervied by jun ide]
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