アルバムFuturistic Experiments V について

あのアルバムは色々な実験的な意味合いのミクスチャーで、
コンピューターを媒介して、トライバルミュージックをクリエイトしたかったんだ。
エキスペリメンタル　アンビエント　ハウスミュージックのミクスチャー。
このアルバムを創るに際しては特にスタジオに座りっぱなしでプロダクション
した訳ではなく、自然な形でスムーズにアルバムが完成したんだ。

インスピレーションについて

曲をつくる上でのインスピレーションは、あるサウンドがきっかけとなって
ビートを起してゆくんだ。そのソース素材の多くはトライバルミュージックから
見つけてくる。ひと昔は”ジャングル”からもよくインスパイヤーされた。
その素材をリプロセスし、どんどんと分解していって、その中からマイクロリズム
がうまれるんだ。 ［取材協力：Eiji Fukuda、Interview&text by Jun Ide］

PORTABLE プロフィール

PORTABLEはポストアパルトヘイト時代の廃墟から現れた。
彼は貧困のケープタウンで育ち、主な関心事は音楽と食べ物だった。 80年代ソウルやヒップホップに没頭し、初期シカゴハウスのレコード リリースが南アフリカにも波及し、彼はそのとき将来は音楽制作をしようと決心した。 スタジオ環境を準備するためにいくつかの仕事をこなし、その音楽への情熱も手伝って すぐに音楽制作のスキルを身につけた。その後地元での音楽活動を経て 1997年にはロンドンに拠点を移し、そのライブ及びDJセットはすぐにロンドンのシーン において評判を得た。ミニマルテクノ／ハウス／エレクトロニカシーンからの強い支持が励み みとなり、ウェアハウスパーティ活動に力を入れた。 また一方デビュー作「Patterns and Signals」(TEXT_07)をサンフランシスコのContextレーベルから 2001年９月にリリースし、それはDebug,XLR8,Jockey Slut等世界中のダンスミュージックマガジンから 絶賛された。 PORTABLEの音楽は常にアフリカの複雑なリズムと陽気で楽観的な精神に影響されつづけ、 その関心は自然な音と機械との合成を目指している。2002年、ドイツのミニマルミュージックレーベル"background-records"のオーナーANDY VAZ に出会う。ANDY VAZはPORTABLEの音楽性に強い感銘を受け、即座にフルアルバムリリースの契約を交わし、これまで同レーベルの アーティストによるコンピレーション"Futuristic Experiments"シリーズの全楽曲をPORTABLE に一任。同６月にリリースされ各方面で話題を呼び、まだリリース実績は皆無に等しいにも 関わらず日本でのbackground-records LABEL NIGHTのメインアクトに起用され、その衝撃的な ライブパフォーマンスを披露、その内容は特別編集され11月末に「More Things Change」(SUD01R)という タイトルで限定版としてCD化されており、国内のテクノ系輸入レコードショップ等でも取り扱われている。 自己レーベルSUDからの第１作目「Gridshift EP」も土の臭いを感じさせるのに電子的でクリアで爽やかな作風は ここでより顕著に表現されている。 2003年２月にはbackgroundより12"「One Second Ago or Less」(BG032)をリリースし、 ４月にはPORTABLEを筆頭にJan Jelinek(Farben),Tomas Jirku,Andy Vaz,Sutekhらを迎えたSUD のコンピレーションアルバム「What was I like before I got into electricity」(SUD002)、 Tuningsporkレーベルのコンピレーションへの参加や、フランスのKarotレーベルから12"のリリースが 予定されている。

［Text by Eiji Fukuda］